さようなら
貴方の前では自然体で居られた。
でも、社会は自然な私を望まない。
働きたくて、収入がほしくて。
みんなと同じ状況で、肩を並べて歩きたくて。
社会に出るには自然な私を封じる術を、演技で良いから習得したくて。
社会が求める"人材"としてのイメージを掴みたくて、温かい君を遠ざけた。
どうしても甘えてしまうから。
その甘えは社会には必要ないから。
こんがらがって、訳がわからなくなって、謎の言葉の羅列を紡ぎはじめても隣に居てくれた。
'答えがないと駄目なの?'
その問いでどれだけ心が救われたか。
でも、社会は答えがある事が前提だから。
訓練が必要だと思った。
例え障害者雇用だとしても働いて、収入を得る。
そこまでしてやっと隣を歩く資格が生まれるんじゃないか。
隣を歩いても恥ずかしくないと思ってもらえるんじゃないかと思い込んでいた。
就職口が決まって、久しぶりに連絡を取った。
取れなかった。
宛先不明のメールが帰って来た。
LINEもツイッターもだめだった。
自分の事ばかりで遠ざけられる気持ちを考えていなかった。
働き口みつかったからあそぼーなんてなんてワガママダ。
切られて当然と事をしてしまったのに、それでもまだ温かかった君を望む。
ほんとうに勝手だな・・・。
けれど、私からの道を全て塞いだその先で、君が今笑っているなら私はそれがいい。
だから、こんどはさようなら。
何時までも引きずってしまうから、後ろ髪を引かれないよう。
ほんとうに、ほんとうにありがとう。